【2nd Kitchen コラム】優しい秋の果物 りんご

ビタミンCが摂れる果物、食感を楽しむ果物を取り上げて来ましたが、今回はその両方を、また焼いても美味しい秋の果物についてです。

りんご 林檎 apple

バラ科リンゴ属。明治初期に本格的に導入され、昭和に入ってから品種改良が進み、盛んに栽培されるようになったそうです。流通しているのは20種類ほどですが、品種は非常に多いようで出回っていないものもあるようです。以下に、スーパーや八百屋で目にする頻度が高いものを中心にその一部を紹介します。

🍎りんごの品種

・ふじ:国内生産量No.1の品種であり、日本のみならず海外でも高い評価を受けているそう。大きめの果実に果汁がたっ    ぷり含まれているため甘みが強く、肉質はやや硬めです。なお、「サンふじ」は「ふじ」を袋掛けせずに栽培したもので、色が濃く、表皮にはまだら模様があり、ふじより甘みが強いりんごです。

・ゴールデンデリシャス:黄色いりんごの品種。果実は大きくて、味は甘く、その甘さは青リンゴよりも甘いものです。

・印度:水分が少なく、甘味が強くて酸味はほとんどない品種。料理用として焼きリンゴに向くもので、戦後は高級りんごとして出回ったようです。

・紅玉:アメリカ原産の品種。アップルパイやジャムなどの加熱調理向きのりんごです。

ジョナゴールド:ゴールデンデリシャス×印度。甘みと酸味のバランスがよく、そのまま食べるも良し、加熱調理にも良し、のりんごです。

・つがる:ゴールデンデリシャス×紅玉。国内生産量No.2の甘みの強い品種。

・陸奥:ゴールデンデリシャス×印度400g以上の大型りんごで味はサッパリしています。

・王林:ゴールデンデリシャス×印度。青りんごの一種で梨に近い食感を持ちます。酸味は少なく果汁が多い、香り高いりんごです。

<選ぶ際のポイント>

皮の色が濃く、ハリとツヤがあって持った時に重量感があるものが良いとされています。

<保存方法>

りんごは温度差のある場所では傷みやすいため、ポリ袋に入れて密閉し野菜室で保存すると良いのですが、冷蔵庫に入りきらない場合は、暖房の入った部屋、日光がよく当たる場所を避けてなるべく温度の低い場所を選ぶように良いとされています。なお、りんごはバナナやキウイなどと同じようにエチレンガスを大量に発生させる果物であるため、他の果物の熟成を早めたい場合に同じ袋に入れておくと良く、また反対にそうでない場合は同封を避けなければなりません。また、例外としてじゃがいもの発芽を遅らせる効果があることが知られています。

~食べごろの見分け方~

熟すにつれ、皮が赤い品種は赤くなり、尻部分も緑色から黄色がかって来ます。この変化が見られたら食べ頃です。また、完熟すると表面を保護するためのろう物質を多く分泌するものもあるようです。これを人工的なワックスと勘違いしがちですが、日本のりんごはワックス処理されていないので、自然なものと捉えて大丈夫なようです。

りんごの ”密” のひみつ

りんごを半分にカットするときれいな琥珀色の密が現れることがあります。これは、糖アルコールのソルビトールが染み出したものです。その様子がはちみつに似ていることから「密」と呼ばれていますが、実はこの部分自体は甘くはありません。しかし、完熟しているため、全体の密度は確かに甘く、それゆえ、蜜入りりんごは甘いものとされているのです。

りんごの栄養価

りんごは栄養価高く、ビタミン、ミネラル、有機酸に食物繊維まで豊富に含まれています。水溶性食物繊維でジャムなどのゲル化剤として働く“ペクチン”や、不溶性食物繊維のレグナンやセルロースにはコレステロールの吸収を抑制する効果があることが知られています。また、有機酸である、リンゴ酸にはクエン酸とともに疲労回復効果が知られており、体内代謝の中で重要な働きをしてくれています。さらに、りんごには果肉、果皮ともにポリフェノールが含まれており、抗酸化作用があることから生活習慣病や老化の防止が期待されています。水溶性食物繊維のペクチンも皮に多いため、ポリフェノールの期待も併せて皮ごと食べるとより良いです。

 

りんごを食べると特別にこの栄養素が摂れる、というわけではありませんが、バランスよく各栄養素が含まれており、そのままでもすりおろしても、また加熱しても美味しく食べられる点において、りんごは優しい果物の一つです。