【2nd Kitchen コラム】野菜を湯通ししたり、水洗いをすると栄養がなくなるって本当ですか?

よく、野菜を湯通したり水洗いしたりするとエグミがなくなり口当たりがよくなります。

しかし、湯通しや水洗いをすると栄養が流れてなくなってしまうといわれており、栄養を取るためには湯通しなどをしないほうがよいように感じます。

湯通しや水洗いをすると本当に栄養がなくなってしまうのでしょうか。

水溶性ビタミンやミネラル

野菜に含まれるビタミンには大きく分けて水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの二つがあります。

水溶性ビタミンは名前のとおり、水に溶やすい性質を持っているため湯通しや水洗いをすると溶けて流出してしまいます。

一方、脂溶性ビタミンは油に溶けやすいという性質がありますが水には溶けにくいので湯通しなどをしても栄養は失われません。

水溶性ビタミンの代表はビタミンB群、ビタミンC、葉酸、脂溶性ビタミンの代表はビタミンA、ビタミンD、ビタミンEです。

例えば、苦みの強いゴーヤはビタミンCを豊富に含んでいますが、独特の苦みがあるため調理前に水にさらして苦みを抜く方が多いですが、水にさらすとビタミンが水に溶けて栄養価が下がってしまいます。ビタミンCは油には溶けにくいので油いためなどが適しています。

また、ミネラルのなかでもカリウムは水に溶けやすいため、湯通しや水洗いで溶けだしてしまいます。

すべてなくなるわけではない

湯通しや水洗いによって水溶性ビタミンやカリウムなどが溶けだすのは事実ですが、ほんの少し湯通しや水洗いしたからといって栄養がすべてなくなるわけではありません。

水に触れる時間の長さや触れている面の広さなどによって流出量は異なりますが、湯通しや水洗い、あるいは茹でるといった調理によって失われる栄養は全体の1~3割といわれています。

サッと湯通ししたり洗ったりするくらいなら栄養量に大きな違いはないので、あまり気にすることもないでしょう。

食べる量が多ければトータルでは減らない

湯通しや水洗いをすると栄養の量が減るかもしれませんが、することによって臭みやエグミがなくなる、口当たりがよくなる、カサが減るなどの効果を得ることができます。

食べやすい状態になると食べる量も自然と増えるので、重量当たりの栄養価が下がってもトータルで見ると栄養の量は減っていないということもあります。

まとめ

湯通しや水洗いで栄養がなくなるのは確かですが、なくなるのはあくまで「栄養の一部」です。

また、湯通しなどによって食味がよくなると食べる量が増えて結果的に多くの栄養を摂取できるようになることも多いため、あまり神経質にならなくてもよいでしょう。

栄養か味かといった二択ではなく、個人のライフスタイルや年齢などに合わせた栄養と美味しさを両立した食事を目指したいですね。