【2nd Kitchen コラム】アスリート スポーツ選手の身体づくりのための食事管理⑩

アスリートに必要不可欠な「水」

水は、糖質(炭水化物)・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルといった、五大栄養素には含まれませんが、とっても大切な成分です。

我々の身体の半分以上は水分で構成されています。成人で約60%、これは体重の約2/3に相当します。また、生まれたときの水分量は約80%にも及びますが、成長の過程において体温調節や水分代謝の機能が備わっていくにつれて成人に近付き、高齢者になると、筋肉の減少等によって40〜50%にまで変化します。体内の水溶液を総称して“体液“と呼びます。そして、体液には、「溶解作用」、「運搬作用」、「体温保持」の3つが挙げられます。飲食により体内に入った水分は細胞内液や血液、リンパ液などの成分として蓄積されています。

溶解作用

溶解とは、物質を物に溶かす、ことを意味し、体液の場合、体内での化学反応をする上で必要となってくる現象です。また、水には身体に必要なミネラル成分である、カルシウム・ナトリウム、カリウムなどが含まれています。これらが体内でバランスを保ち、筋肉の動きをスムーズにしたり、血圧のコントロールに力を発揮しています。

運搬作用

身体にとって適量の水分を摂取することで血液が循環し、栄養素やヘモグロビン(はたらき:酸素運搬)を身体の隅々まで行き渡らせています。そうして、不要になった物質を老廃物として排出するといったように生命を維持するために理想的なサイクルを営んでいるのです。

体温保持

水は、比熱(物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量)が大きいため、気温や室温が低下しても体温はすぐには下がりません。その一方で、体温が高くなると皮膚から汗を出すことによって気化熱を放出して効率的に体温を下げます。この作用が体温保持の作用です。運動時にはエネルギー代謝が亢進するため、大量の熱が産生されます。もしも、この熱を体外に放出することなく体内に留めたままだと、体温が上昇し続け、熱によって体内のたんぱく質に変性が起き、酵素(たんぱく質により構成)や筋肉などの体たんぱく質が障害を受け死に至こともあるほど恐ろしい事態を引き起こします。よって、体温が上昇すると、運動機能が維持できなくなるだけでなく身体が正常に機能しなくなります。体内の水、いわゆる体液を使って体温を下げても、体内の水がなくなってくると脱水となり、熱中症を招くことになるのです。アスリートとしてのパフォーマンスが低下するポイントは体重の約2%相当の水がなくなった時と言われています。

上記のように「水」の役割は、アスリートにとって健康な身体づくり、そしてその身体を維持するためにとても大切なことですね。

なお、水分補給の際に糖質を多く含むジュースなどは液体の濃度が高いため、胃から腸への水分移動がゆるやかになるため、水分吸収のスピードが遅くなります。その一方で、水は濃度が低いため、素早く身体に吸収されていきます。しかし、一気に飲み過ぎると血中のナトリウム濃度が低下し、危険な状態に陥る恐れがあります。よって練習時、試合前後含め、定期的な水分補給がポイントとなってきます。