【2nd Kitchen コラム】ミネラル

ミネラル Mineral

我々の生体は細胞から構成されており、その細胞はさまざまな元素から構成されています。細胞が栄養素を取り入れて物質代謝を行うことにより、我々は生きています。人体の95%は酸素・炭素・水素・窒素の4元素で構成され、残りの5%に当たる元素を栄養学ではミネラル(無機質)と呼んでいます。栄養素として不可欠なものは必須ミネラルと呼ばれ、現在16種類が知られています。ミネラルは、体の構成成分や生理作用の調節であり、主な働きは次の4つです。

①骨・歯など体の構成成分になる (カルシウム、リン、マグネシウムなど)

②体液に溶けてpH・浸透圧を調節する (ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、塩素など)

③酵素の構成成分になる (マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、コバルト、ヨウ素など)

④神経・筋肉の興奮性の調節をする (リン、鉄、硫黄など)

また、ミネラルは、構成元素の体重に対する存在量によって、多量元素と微量元素に分けられます。

多量元素

多量元素は体重に対して1%以上存在している元素です。

種類
元素記号 働き 多く含む食品
カルシウム Ca 骨や歯の形成、神経の興奮抑制 牛乳・乳製品、小魚、野菜、大豆製品など
リン P 骨や歯の形成、リン脂質の構成成分 牛乳・乳製品、一尾魚、大豆、肉など
カリウム K 細胞内液の浸透圧の維持、心臓や筋肉の機能調節 果物や野菜に豊富に含まれている
硫黄 S 皮膚や髪、爪の形成、酵素の活性化 魚・大豆製品など ※1
ナトリウム Na 細胞外液の浸透圧の維持、筋肉や神経の興奮抑制 調味料をはじめとする加工食品
塩素 Cl 胃液の成分、殺菌作用 食塩(NaClの形で含まれる)
マグネシウム Mg 酵素の活性化、神経の興奮抑制 大豆・未精製の種実や穀類、海産物など

1 含硫アミノ酸(構造内に硫黄を含むアミノ酸)の成分となってたんぱく質に含まれています

微量元素

微量元素は体重に対して0.010.0001%で存在している元素です。

種類 元素記号 働き 多く含む食品
Fe 赤血球のヘモグロビンの成分 レバー、肉、魚、大豆、緑黄色野菜、海藻など
亜鉛 Zn たんぱく質合成に関与 魚介類、肉類、玄米、豆類、野菜、海藻、種実など
Cu 赤血球のヘモグロビン合成に関与 レバー、魚介類、豆類など
ヨウ素 I 発育を促進、基礎代謝の促進 魚介類、海藻類など
セレン Se 抗酸化作用、がん予防 魚介類、セレン濃度の高い土壌で育った植物など
マンガン Mn 糖質・脂質代謝に関与、骨形成に関与 茶葉、種実、穀類、豆類など
モリブデン Mo 尿酸を作り出す代謝に関与 レバー、豆類、種実など
クロム Cr 糖質・脂質代謝に関与 魚介類、肉類、海藻など
コバルト Co ビタミンB12の成分、造血作用に不可欠 肉類、レバー、魚介類、乳製品など

ミネラルは体内で合成することが出来ないため、食事から摂るのが必須です。不足するとさまざまな不調が現れたり、鉄欠乏性貧血、ヨウ素不足による甲状腺腫などの欠乏症、カルシウム不足で骨粗鬆症になるなどの問題も起こします。しかし、ミネラルの摂り過ぎは、過剰症を引き起こします。例えば、1日の必要量が100㎎未満の鉄や亜鉛などを摂り過ぎると、中毒を起こします。また、ナトリウムの摂り過ぎは高血圧症に繋がるなど、生活習慣病とも深く関わっています。

ミネラルウォーター

“ミネラル”と聞いて思い浮かぶものの一つにミネラルウォーターが挙げられると思います。ミネラルウォーターとは、鉱泉水のことで、地中から湧出する泉水で、ガスまたは固形物質を1L1g以上含むものを指すようです。食品衛生法により、清涼飲料水の適用を受けており、品質表示ガイドラインによって次のように分類されています。

①ナチュラルウォーター(ミネラル調整などの処理を行わないもの)

②ナチュラルミネラルウォーター(ナチュラルウォーターのうち無機塩類を含まないもの)

③ミネラルウォーター(ミネラル調整を行った地下水)

④ボトルウォーター(蒸留などの人工処理を行ったもの)

また、水の水質基準の一つに「硬度」が挙げられますが、これは水1L中に含まれる、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計を炭酸カルシウムに換算したものです。高度が低いものが軟水、高いものが硬水、そしてその中間にあたるものが、中硬水です。軟水は硬度が100㎎以下であり、硬水は300㎎以上となっています。日本のミネラルウォーターは軟水です。海外のミネラルウォーターの中には硬度が1000以上のものも存在するそうですが、吸収率が良くないため、ミネラルの補給源としての過大な期待は出来ません。